2016年6月14日【 ecec on sns 】
さくらしんまち保育園の保育室はどの部屋も玩具棚で区切られています。さえぎるものが何もない大広間の様な保育室はありません。これはコーナー保育やゾーン保育と呼ばれる保育環境です。絵本コーナーやブロックコーナー、手指遊びコーナーやパズルコーナー、おままごとコーナーに制作コーナーといった具合です。朝夕の送り迎えの時にコーナーで遊んでいる姿をよくご覧になると思います。子ども達はその時々で取り組みたい遊びを自分で選んで遊びます。それぞれのコーナーで遊んでいる様子をじっと見ていると、数十分間も集中して遊び続ける子どもが少なくないことに気づきます。見学に来た方に、集中して遊ぶ子が多いのは何か秘訣があるのですかと聞かれることがあります。その答えは至って簡単で、自分で遊びを選んでいるからです。もし玩具や教具がないお部屋で、先生がねんど遊びをしようと子どもに提案し、机と椅子を出し、ねんどの用意をしてねんど遊びを始めたとしても、そのうち数人が立ち歩いたり、ふざけ始めたりします。先生はその子に注意して、ねんど遊びを続けさせます。しかし、ここで気がつかなくてはならないことがあります。ねんど遊びからエスケープした子どもは最初からねんど遊びがやりたいとは言ってないのです。先生に言われたからやっているに過ぎないのです。今の貴重な乳幼児期の遊びを義務的、強制的にしてしまっては身につく巧緻性もつかなくなってしまいます。それより自分で選んだ遊びを思う存分楽しむ方がずっと発達が促されます。子どもにとって成長することは本能です。子どもが面白そうと感じて選んだ遊びは、その子の成長本能が選んだ遊びです。自発的、主体的に取り組みますから、おのずと集中し、おのずと発達に繋がります。やりたいことをやる方が生産的で効率的なのは私たち大人も同じです。
時にはやりたい遊びが見つからずお部屋をうろうろする子もいます。そんな時は職員が一緒に遊んで遊び方や楽しさを伝える様にしています。しかし場合によってはお部屋を出て行ってしまう子もいます。そんな時、私たち職員はお部屋を出てはいけませんと言うだけではなく、魅力的なコーナーの設定ができていないのではと反省します。玩具の難易度を上げ下げしたり、別の玩具を出したり、その子の発達に合ったコーナーになる様に工夫します。その子の発達にあってさえいれば、必ず集中して取り組むという確信があるからです。
また、自分が遊んだ玩具は自分で片付けるというルールもあります。子どもなので完璧にとはいきませんが、自分で選んだことだから自分で片付けるという意識付けは、給食で色々と選択し責任を持つことと同じです。
せっかく急いでお迎えに来たのに、え~早い~と子どもに文句を言われるとガックリするかもしれませんが、子どもがそう思える環境にいたと思えば、悪くないことかもしれません。