2016年6月16日【 ecec on sns 】
0.1.2歳の乳児が主ですが、子ども同士で遊ぶ中でかみつきやひっかきが起きることがあります。玩具や場所の取り合い、遊びや行動が邪魔された時や不意に密着した時など、シチュエーションは様々ですが突発的に手や口が出てしまいます。いかなる理由があろうと相手を傷つけることは良くないこととして、私たち職員はそれらを未然に止めるために常に気を配っています。しかし、それでも止めてあげることができずにかみつきやひっかきが起き、お迎えの際にお詫びすることがあります。その度に申し訳なく反省しております。
再発を防ぐため、玩具の数や空間の広さといった環境を見直すことはもちろん、活動に無理やストレスがなかったか振り返って考えます。どんな状況になるとそういう行動に出るのか、みんなで話し合っていくつかのパターンを抽出し、子どもの行動を予測することで未然に防ごうと試みます。怒った気持ちに共感しながらも、かみつきやひっかきは良くないことと根気強く伝えます。言葉で伝えられる子であれば、気持ちを言葉に置き換えて伝えることを教えていきます。私たちが作った環境で起きたことなので、かまれた子はもちろん、かんだ子にも謝罪の気持ちがありますので、かんだことを保護者にお伝えすることは控えさせて頂いております。ただしあまりにも頻発する様でしたらご報告させて頂いております。その理由はそれらの行動の裏に視力の問題や睡眠不足などの生活リズムの問題、満たされない気持ち、さらには発達上の問題があるかもしれないからです。
かみつきやひっかりをする子にも必ず理由があります。一人で集中して遊びたいという気持ちを叶えるためにそういった環境を用意することもありますし、気持ちを満たすためにじっくりと保育者が関わることもありますが、一人だけ集団から隔離する様なことだけはしたくありません。それは課題を避けているばかりか、友だちと一緒に遊ぶ楽しさも奪ってしまうからです。誤解を恐れずに言えば、避けるべきことですがかみつきやひっかきもコミュニケーションの一つであり、発達段階の一つです。
恥ずかしながら私は考え事をする時に人指し指の付け根を噛む癖が抜けきれません。大リーグの選手は試合中にガムを噛んでいます。古いお芝居で女性が白いハンカチの角をキィーッと噛んで悔しさを表現する仕草があります。人は噛むことで気持ちをリラックスさせようとするそうです。子どもの自制心は発展途上です。とっさにカッとなることもあります。子どもは攻撃のためだけにかみつくのでなく、高ぶった興奮状態を落ち着かせるためにかもうとするという研究もあるそうです。
玩具の取り合いも大切な学びの一つです。独占したい気持ちとシェアする気持ち、順番に使うことや一緒に遊ぶ楽しさを学んでいます。どれも一人では経験できない、子どもが子ども集団から学ぶ大切なことの一つです。子ども達はほとんどの時間楽しく遊んでいます。しかしその一方では喧嘩したり、取り合うこともあります。まれにかみつきやひっかきも起きてしまいます。これからも相手を傷つける様な関わりは問答無用で止めていきますが、そうなる過程にも発達的、教育的意味があることを忘れてはいけないと思います。