2016年6月8日【 ecec on sns 】
前回に引き続き、幼児クラスの食事環境について、その理念と実践をご紹介致します。
好きな時間に、好きな友だちと、好きな食べ物を、好きな分量で配膳するという、できるだけ子どもにとってストレスフリーな食事環境作りを目指しています。5人グループでランチルームに向かう部分では少しハードルもありますが、協調性が身につけば柔軟に対応できる様になります。また嫌いな食べ物を無理やり食べさせても余計嫌いになってしまうという信念に基づいています。そうして食卓についた子ども達ですが、その中にリーダーがおります。リーダーは5人グループを作った後に、ランチルームのテーブルが空いているかを確認したり、食卓についた後にテーブル上に置かれた時計の針を合わせたりする役割です。この時計については是非実物を手にとって頂きたいのですが、3つの針が食べ始めの時間とおかわり可能時間と食べ終わりの時間を指し示す様になっている時計の模型です。それぞれのテーブルで食べ始めの針を実際の時間に合わせることで、おかわり可能時間と食べ終わりの時間が指し示される様になっています。子どもが自分で目標を設定することを大切にしています。そうすることで子どもなりにその時間内に食べ終わろうとするのです。なぜそうするのかと子どもに聞いたところ、彼らは自分で決めた時間だからと答えます。子どもなりに自分で設定した目標は達成しようとするものです。
食事が始まれば、まずはみんな一心不乱に食べます。食べる順番はデザートを最後に食べるということだけがルールです。全て食べ終わりもっと食べたい子はおかわりにいきます。おかわりを目的に食べ進める子もいますが、最終的にはおかわりしなくても済む様に始めから多めにもらうことが目標です。それも自分の食べられる量の把握に繋がるからです。配膳の際に苦手なものは少な目にもらったり、極端な例では全くもらわなかったりするのですが、食事の際は職員も一緒に食べますので、楽しく美味しい雰囲気の中で苦手な食材もほんの少しだけ試す様に促すこともあります。ストレスフリーな状況であれば、その日の気分で触手が伸びるものです。それでも拒む様なら無理に食べさせずに他のアプローチを模索することになります。
最終的には自分で椅子と食器を片付けることになりますが、そこであまり残食がでないことが一つの特徴です。子どもになぜ食べ残さないのと聞けば、自分でとった分だからと答えてくれます。子どもなりに自分で色々と選択した食事に対して、責任感を持っていることは頼もしいことです。もし反対に全て大人が決めた環境で食事をさせるならば、子どもは先生や親に言われたからそうしなければならないという義務感だけで動いてしまいます。自分の空腹感や自分の味覚に従うのではなく、大人から強いられた義務感に従ってしまうと将来的に摂食障害になってしまうのではないかと心配になります。
そうして給食の時間が終わっていくのですが、職員の仕事はまだ続きます。毎週火曜日の午睡中の時間を使って給食会議というものがあります。その会議には担任はもちろん園長.主任.栄養士が参加して、一人ひとりの喫食状況を共有し、課題をどう克服していくかアプローチを検討します。裏面に実際の給食会議の資料を印刷していますのでご覧下さい。さくらしんまち保育園の全ての園児に対して、毎月同じ様な資料が作成されて話し合われています。特徴的な給食システムの裏にはこうして一人ひとりの子どもを見つめ、支える職員の個別配慮があるのです。
以上